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2019年2月3日日曜日

News(お知らせ) -2019

・2019/08/27
自作モデリング支援用モデルセット「Model Creator」に背景用の1mキューブを作成しました。
背景面倒なのでいずれ役に立つかと。
ブロック的にマインクラフトのパクリですね・・・
レンガとかも作りたかったですが自分の古いBlenderにはそれっぽいテクスチャ無かったです・・・
今回編集したテクスチャは他のモデルでも使えそうですね。

・2019/07/16
ナンコウ・カイ用TLD04-30mmジャックハンマー、折り畳み式シールド
ナンコウ・カイ用TLD04-ブレード付き20mm対戦車ライフル、7.62mmマシンガン
の画像を追加しました。

・2019/02/03
ナンコウ・カイ用TLD04-ジュポ国練習用100kg級極軽量パワードアーマー
ナンコウ・カイ用TLD04-ジュポ国練習用100kg級極軽量パワードアーマー飛行装置装備型
の画像を追加しました。

2018年6月9日土曜日

News(お知らせ) -2018

・2018/10/16
50cm汎用固定翼飛行無人機の画像を追加しました。

・2018/06/20
Armor Exposed Powered Armor(AEPA)、装甲露出型パワードアーマーの解説、画像を追加しました。
https://worldgazerweb.blogspot.com/2015/11/nations-immature.html

・2018/06/10
human type technology(World_Gazer)、人型技術(ワールド・ゲイザー)の画像を追加しました。
https://worldgazerweb.blogspot.com/2015/11/nations-immature.html

・2018/06/09
Exoskeleton Type Powered Suit(Exo Suit)、外骨格型パワードスーツの解説、画像を追加しました。
https://worldgazerweb.blogspot.com/2015/11/nations-immature.html

2017年12月16日土曜日

News(お知らせ) -2017/12-

・2017/12/18
自作モデリング支援用モデルセット「Model Creator」の一部を公開しました。
https://worldgazerweb.blogspot.jp/2014/07/model-creator.html

・2017/12/16
自作モデリング支援用モデルセット「Model Creator」がどの様なものか画像を載せていきます。
参考までに。


*キャラクターパーツ。髪の毛、小物、服等々。


*銃火器パーツ。アクセサリー、弾薬、ピストルからミサイルまで様々。ギターとケースもあるよw


*武器パーツ。グリップ、ナイフから長物まで様々。ブーメラン、弓矢、バット、シールド等。シャベルは折り畳み可w


*ロボット、パワードアーマー(人型強化装甲)パーツ。フライトユニット等の支援装備も様々。


*乗り物パーツ。車椅子、戦車、航空機まで様々。


*動物パーツ。


*ワールドパーツ。木や家具、道路、ガソリンスタンドや公園等の建物が様々。

News(お知らせ)

・2019↓
https://worldgazerweb.blogspot.com/2019/02/news-2019.html
・2018↓
https://worldgazerweb.blogspot.com/2018/06/news-2018.html
・2017/12↓
https://worldgazerweb.blogspot.jp/2017/12/news-201712.html

2017年5月2日火曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~

-最終話-

   ジュポ国政府がトビウオ型ゲカアウタレス生息海域警戒を再開してから2日後の3月4日火曜日、警戒に当たっていた湾岸警備隊の巡視船がソナーで何かを捉えた。反応は巡視船に高速で接近し、数は次第に増えていった。やがてその反応はトビウオ型ゲカアウタレスと判明した。トビウオ型の群れの進路上にはイツツシマ市があり、巡視船は直ぐ様本部に緊急連絡を入れた。情報を受けた湾岸警備隊、海軍、PMCや賞金稼ぎ達は急いで準備し、現場海域に向けて出発した。イツツシマ市沿岸に避難勧告が流れ、市内に緊張が走った。

トビウオ型と遭遇した巡視船は撤退を続けていたが、トビウオ型は船に追い付き、巡視船は包囲されつつあった。

-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~

   トビウオ型に狙われた巡視船を援護するため、カイとサオはフライトパワードアーマーで出撃し、現場に急行した。更なる改造を加えたカスタムフライトPAに搭乗していたカイはトビウオ型に包囲され、攻撃を受けている巡視船を確認し、戦闘に入った。




現場に駆けつけた湾岸警備隊、海軍、PMC等の混合部隊はトビウオ型の自爆に気を付けながら、地道に敵の数を減らしていくしかなかった。ゲカの爆発能力を抑制できるヒカ内蔵弾の限られた混合部隊にとって、現状は不利だった。

トビウオ型との全面対決が行われる中、海軍の対潜機が海中に巨大な反応を捉えた。その巨大な何かは海中から徐々に浮上し、やがて海面に巨大な影が映った。それは波を立てながら海面より姿を現した。非常に大きなトビウオ型ゲカアウタレスだった。

体長30メートル程ある巨大なトビウオ型は他の個体同様に空中へと飛行を開始した。サオは恐る恐る巨大トビウオ型の測定を始め、カイが彼女を先導した。測定の結果、体長約30m、体重約350t、飛行速度約250km/h、危険度5(軍事対応)、脅威度4(小隊規模)、濃度6(90%)と推測された。巨大トビウオ型ゲカアウタレスも体内に液化ガスを持ち、その容量は膨大だった。もし巨大トビウオ型が標準個体のように自爆すれば、周囲への被害は計り知れない。巨大トビウオ型に対し、下手に手を出せない混合部隊は為す術が無かった。それでも巨大トビウオ型は群れと共に、イツツシマ市方面に撤退する巡視船を追撃し続けた。

混合部隊のぎりぎりな戦闘が続く中、イツツシマ市にいた増援の護衛艦から通信が入った。対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤が完成し、薬剤を内蔵したミサイルの積み込みが完了したのだ。危機的状況を打開できると多くの者が期待を寄せたが、護衛艦は出航できずにいた。海軍の動きを察知した市民団体がメディアの前で騒ぎ出し、政府はトビウオ型迎撃への増援を見送っていたのだ。

激戦の真っ只中にいる巡視船の速力は落ち、総員の退避も困難であった。良くなるどころか悪化の一途を辿る状況を目の当たりにし、巡視船は退避を諦め、味方に撤退するよう申し出た。彼等は味方の被害拡大を危惧したのだ。巡視船の通信を聞いていたカイは憤りで胸が張り裂けそうになる。

「あいつ等を見殺しにするつもりか!?上は何やってんだ!」

その頃増援が出撃できていない事を知った若手議員は、数人の仲間を連れて防衛大臣に詰め寄った。若手議員は大臣に増援の出撃許可をしつこく求めた。トビウオ型の迎撃作戦が失敗すれば少なくとも巡視船1隻が沈み、混合部隊に被害が出て、そして最悪イツツシマ市が危険に晒される事になる。そうなった場合の責任は誰が取るのか、若手議員は大臣に圧力を掛けた。すると大臣は他の議員達に連絡を取って意見を交換した。しばらくすると、防衛大臣はついに増援の出撃を許可した。若手議員の顔は希望で満ち溢れた。

増援部隊の出撃許可が下り、今か今かと待ち続けていた増援部隊は即座に最大速度で現場に向かった。彼等が積んだ対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤内蔵ミサイルは既に発射体制に入っており、後は有効射程圏内に入るのを待つだけであった。増援部隊出撃の連絡を受けた現場の混合部隊は歓喜し、部隊の士気は一気に激変した。カイとサオは時間を稼ぐため陽動に徹し、部隊は奮闘した。

ついに増援部隊がミサイルの射程圏内に辿り着き、護衛艦が発射体制に入った。艦長の命令により、対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤内蔵ミサイルが発射された。ミサイルは高度を上げ、トビウオ型の群れ上空で起爆した。起爆後、爆発抑制剤が辺り一面に降り注いだ。サオは大気中の濃度を量り、データを護衛艦に送った。護衛艦に乗艦していた研究員がデータを基に薬剤濃度を確認し、数値が期待値に達している事を伝えた。薬剤の効果を確かめるため、1隻の護衛艦がトビウオ型に対空ミサイルを発射した。ミサイルは1頭のトビウオ型に着弾し、爆発と共にトビウオ型の体はバラバラになった。爆発の際、トビウオ型特有の大爆発は起きなかった。爆発抑制剤の効果が効いている証拠だった。

効果を確認した混合部隊指揮官はトビウオ型の群れに対する一斉攻撃を部隊に命じた。混合部隊は一斉に攻撃体勢に入り、トビウオ型の群れと交戦状態に入った。カイとサオは巡視船を狙うトビウオ型を一掃し、巡視船は撤退に専念する事ができた。増援部隊も合流し、一部は巡視船の保護に回った。

形勢が逆転した戦闘の中、カイを後ろから援護していたサオは、カイのPAのフライトユニットから煙が出ている事に気が付いた。戦闘で何度か被弾しているせいだった。

「ここまでか・・・いっそあのデカイ奴にぶつけてやる。」

「・・・えっ?」

カイがこのまま機体もろとも自爆すると勘違いしたサオは、感情を思い切り吐き出す。

「・・・ふざけないでよ!何勝手に死のうとしているの・・・あなたがいない人生なんて・・・私はごめんだわ!」

珍しいサオの叫びを聞いたカイはしばらく黙り込み、そして彼は恐る恐るサオに説明する。

「・・・俺が自爆すると勘違いしているようだが・・・限界にきているフライトユニットだけを自爆させて、落下する俺をお前に引き上げてもらう予定だったんだがな・・・一応パラシュートは装備しているが、戦闘のど真ん中だし・・・」

自身が勘違いしている事に気付いたサオの顔は恥ずかしさで真っ赤になり、彼女は怒りと共に口を開く。

「・・・勝手に自爆しろ。」

「・・・はいよ。それじゃあこれよりあのデカイのに総攻撃を仕掛ける。後は任せたぜ、相棒。」

「・・・」

サオが黙っていても彼女を信頼しているカイはトビウオ型の群れを掻い潜り、巨大トビウオ型に一斉攻撃を仕掛け、近付いたところでPAのフライトユニットを機体から切り離した。カイはそのまま落下し、フライトユニットは巨大トビウオ型に直撃した。混合部隊の攻撃も続き、巨大トビウオ型は袋叩きに遭った。

「・・・あれ?助けてくれないの?・・・うそぉお!?」

落ちるカイを静観していたサオは、間を置いて彼に向かって急加速した。彼女がやや不機嫌だったからである。向かってくるサオに気付いたカイは手を伸ばし、サオは彼の手を空中で掴んだ。

「ありがとな、お前がいて助かったぜ。」

「・・・」

無口のサオはそのまま上昇し、その場を離れた。カイはPMCの船に戻るべきなのだが、サオはわざと彼を海軍の護衛艦に降ろした。彼への嫌がらせだった。

混合部隊の一斉攻撃により巨大トビウオ型は倒され、海に落下した。多くのトビウオ型も倒され、生き残った個体は少しずつその場から逃げていった。やがてトビウオ型は部隊の前から消え、部隊はトビウオ型に勝利し、イツツシマ市への脅威は去った。

   トビウオ型との大規模な戦闘後、この事件はニュースで大々的に取り上げられ、イツツシマ市沖トビウオ型ゲカアウタレス巡視船襲撃事件と呼ばれた。ニュースを知った民衆は政府の対応に疑問を持った。しかし3月10日月曜日、政府は戦闘中の記録映像の一部をメディアに公開し、民衆はアウタレスの危険性を改めて実感した。これを機に民衆のアウタレス保護の感情は薄れていき、逆にアウタレスに対する恐怖心が徐々に芽生えていた。メディアも世間の感情に乗じ、アウタレスに対する不安を揺さぶった。やがて保護団体の影響力は消え、民衆はトビウオ型に対し何かしらの処置を政府に求めた。トビウオ型の管理は難しいと判断した政府はトビウオ型の全面駆除を打ち出し、国民の多くはこれに反対しなかった。

3月21日金曜日、トビウオ型ゲカアウタレス全面駆除法案が可決された。カイとサオは残トビウオ型討伐部隊への参加要請を受け、二人は嫌々討伐任務に参加した。

カイとサオが港で涼んでいると、カイは静かに愚痴をこぼす。

「なんで人はこうも極端なのかねぇ・・・全面保護の次は全面駆除かよ・・・」

「嫌なら無理して参加しなくてもいいんだぞ?」

「お前だけに後始末を押し付けるつもりはねぇよ。」

しばらく波音だけが響き、不意にサオが自身の胸中を明かす。

「実はね、私まだ怒ってるのよ。あなたが黙って軍を抜けた事」

「・・・すま・・・」

カイの謝罪の言葉を、サオが遮る。

「でも立場が違うと二人の視野が広がって、結果的に悪くなかったのかもしれない・・・今はそう思う。」

「なら良かった。俺の選択が、お前のためにもなるのなら・・・今後もよろしく。」

「ああ。こちらこそ。」

二人が握手を交わすと、カイは片方の腕でサオを一瞬抱き寄せた。サオは一度驚いた後、優しい笑みを浮かべた。やや照れ気味のサオは、ふと新しく入った仕事の依頼にカイを誘う。

「そういえば国立研究所から試作戦闘機のパイロットの依頼がきているのだが、どうだ?新しいフライトユニットの資金も必要でしょ?」

「そうだな~・・・まぁ、お前も同行するなら考えてやってもいい。」

サオは笑顔を見せ、二人は静けさを取り戻した水平線を、しばらく眺めていた。

-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~ ~完~

2017年4月23日日曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~

-第3話-

   凶暴な進化を遂げたトビウオ型ゲカアウタレスが複数潜んでいる可能性がある保護海域の実態は、まだ誰も掴めていなかった。そこで若手議員は度重なる政府への説得の末、海域調査の許可を得た。アドバイザーとしてトビウオ型との戦闘経験を持つカイとサオや、国立研究所の研究員が若手議員と同行し、海軍の護衛艦に乗艦した。準備を整えた護衛艦は出航し、保護海域へと向かった。

-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~

   海軍の護衛艦が保護海域に向かう道中、カイ達は打ち合わせ以外やる事が無かった。上層部との口論の末海軍を除隊したカイにとって、護衛艦内は非常に居心地が悪かった。アウタレス調査員の資格を持つカイは海軍内でそこそこの有名人であり、サオ同様艦内で注目を集めていた。当のカイは他人の目線に耐えられなくなり、サオに割り振られた部屋に逃げ込んだ。部屋にいたサオはちょうど着替えをしている最中だった。

「あ、悪ぃ・・・」

カイが静かに部屋を出ようとすると、サオ呆れながら口を開く。

「別にいいよ。ここにいても・・・どうせみんなから逃げてきたんでしょ。」

乗艦前からそわそわしていたカイの心境は、サオには筒抜けだった。カイは席に座り、黙ってサオが着替え終わるのを待っていた。

「除隊しなければこんな面倒もなかったのにな~・・・」

「・・・」

サオが嫌味を言うと、反論できないカイは相変わらず静かだった。弱いところを突かれたカイを見て、サオは小さく微笑みしばらくこの状況を楽しんでいた。

   軍港を出て数時間後、保護海域に接近していた護衛艦のゲカセンサーが、何らかの動体を捉えた。護衛艦は臨戦態勢に入り、艦は速度を緩めた。センサーが示す動体の数が次第に増え、表示が重なり数の特定が困難になった。センサー要員によると、この反応がトビウオ型なら100頭近い数がいるという事だった。保護海域までまだ距離があったが、トビウオ型と思しき動体の群れは保護海域の外で確認された。これまでこの様な事例はなく、艦に同乗していた研究員は困惑していた。

護衛艦は準備を終え、周囲の情報収集のため潜水ドローン(無人機)を放った。潜水ドローンは海中を潜航し、反応があった方向に進むと海水の汚染濃度が次第に高くなっていった。海水の汚染物質を調べてみると、トビウオ型の体内で生成されるものと一致した。潜水ドローンが先へ進むと、センサーに魚類の影が映った。トビウオ型ゲカアウタレスだった。案の定護衛艦のゲカセンサーが捉えたのはトビウオ型の群れだったのだ。トビウオ型の群れは保護海域を離れ、イツツシマ市沿岸に向かっていた。このままでは市に害が及ぶ可能性があった。しかし移動速度が速いはずのトビウオ型はゆっくりと移動していた。何か理由があって移動速度が遅いのか、研究員はこの事に疑問を抱いていた。

護衛艦が潜水ドローンを使用しトビウオ型の群れ周辺を調査して数時間後、前方のトビウオ型に動きが見られた。前方のトビウオ型数頭がその場を前後に往復し始めたのだ。異変に気付いた護衛艦艦長はここが引き時と議員一行を説得し、艦に退却を命じた。護衛艦は反転し、トビウオ型の群れから離れていった。しかし前後に往復していた複数のトビウオ型の動きが止まり、その後護衛艦に向かって加速し始めた。護衛艦内に緊急警報が鳴り響き、護衛艦も速度を上げた。艦より二機の戦闘潜水ドローンが発艦し、艦後方の護衛に就いた。護衛艦を追い掛けるトビウオ型が次第に増え、先頭がドローンに攻撃を仕掛けた。潜水ドローンは応戦するものの、トビウオ型の数に圧倒された。護衛艦は追加の潜水ドローン二機を発艦させ、トビウオ型の迎撃に向かわせた。

護衛艦が魚雷の発射準備中、カイは艦長にダイブパワードアーマー(潜水装置装備型パワードアーマー)の使用許可を求めた。艦長はカイにパイロットは間に合っていると伝えると、カイは艦内に自分とサオより優れたパイロットはいないと反論した。カイとサオはトビウオ型との戦闘経験があり、更にアウタレス調査員の資格を持っているとサオは艦長を説得した。沈黙の後、艦長は二人に潜水パワードアーマー搭乗を許可した。カイ、サオ、二人の海軍PAパイロットがダイブPAに搭乗し、四機のPAは護衛艦より発艦した。二人の海軍PAパイロットは心強いカイ、サオと共に出撃できる事を光栄に感じており、心に余裕ができていた。

護衛艦はトビウオ型への攻撃を開始し、水中のダイブPA四機も急速接近するトビウオ型を迎え撃った。久々の水中戦でカイとサオは初め動きがぎこちなかったが、次第に本来の調子を取り戻した。水中戦に慣れたカイとサオは前に出てトビウオ型の注意を引き付け、海軍PAパイロット二人を艦の護衛に回した。

護衛艦に向かうトビウオ型の数は更に増え、迎撃していた前衛のカイとサオの状況は苦しくなり、二人は少しずつ後退せざるを得なかった。護衛艦は全速力で撤退を続けるが、トビウオ型の追撃は尚も続いた。両脇にいたトビウオ型は護衛艦に回り込もうとし、艦は包囲されつつあった。ダイブPAより前に出ていた潜水ドローンの大半は破壊され、護衛艦の守りが薄くなっていった。海軍PAパイロットも奮闘するも、対応に限界が来ていた。

トビウオ型の猛威が護衛艦に迫る中、横からなんらかの攻撃を受け、トビウオ型の動きが一時的に停止した。攻撃は更に続き、護衛艦を狙うトビウオ型の速度は大きく低下した。護衛艦がセンサーで状況を探ると、複数の人、PA、船舶がこちらに向かってきているのが確認できた。現れたのは複数の賞金稼ぎだった。彼等はトビウオ型への攻撃を続け、護衛官の撤退を援護した。賞金稼ぎの中には先日司法取引に応じた者も含まれていた。借りを返すつもりなのか、彼等のおかげで護衛艦はトビウオ型を引き離す事に成功した。トビウオ型が少しずつ追撃をやめた後、護衛艦艦長は賞金稼ぎ達に感謝を述べ、直ちにこの場を離れた方がよいと伝えた。賞金稼ぎ達は手際よく撤退し、危機を脱した護衛艦は無事岐路に就いた。

   海域調査後、海軍と若手議員は情報をまとめ、政府に報告した。政府は現状を把握すると会見を開き、大まかな情報をメディアに公開した。政府はイツツシマ市に接近しているトビウオ型ゲカアウタレスの群れになんらかの処置を検討しなければならないと公表した。しかしメディアは政府を非難し、この事態は強引な海域調査がトビウオ型を刺激した所為なのではとの疑いを立てた。おかげで政府はトビウオ型の対応を検討するも、決定までには至らなかった。結局は従来通り、湾岸警備隊の巡視船でトビウオ型が確認された海域を見張る事が継続された。

「放っておくとまずい事ぐらい分からねぇのか・・・」

危機感のない政府の対応に苛立ったカイは、サオの前で愚痴をこぼした。これから訪れるかもしれない危機を感じ、カイはサオに頼み込む。

「ちょっと付き合ってくれねぇか?」

サオはカイの言葉に一瞬動揺したが、彼女は冷静に事情を聞いた。

「パワードアーマーの装備を強化したいんだが、手伝ってくれないか?」

「業者なんていくらでもいるじゃない。私じゃなきゃだめなの?」

「あまり他人に俺の機体を触らせたくないんだよ。」

カイの言葉に呆れつつも、特別扱いされたサオは内心喜んでいた。

「・・・しょうがないわね。」

-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~ ~完~

巡視船襲撃
決戦
事件終結後

次回-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~

2017年3月16日木曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~

-第2話-

   カイとサオは密漁船を襲撃したトビウオ型ゲカアウタレスと交戦し、これを駆除した。しかし高圧ガスを体内に持つトビウオ型は絶命する際に大爆発を起こし、このアウタレスの危険性をその場の者達に示した。密漁船は拿捕され、全乗組員は湾岸警備隊に逮捕された。今事件はニュースで取り上げられ、大きな話題を呼んだ。アウタレスの脅威、保護対象であるトビウオ型の殺害に対する抗議など、民衆の注目を再び集めていた。保護対象のトビウオ型を駆除したカイとサオは活動制限を通告され、政府や海軍に参考人として呼び出された。二人を責める者もいれば、二人の迅速な対応を評価する者もいた。ある日カイとサオは再び政府に呼び出され、応接室に案内された。度重なる呼び出しにカイは苛立ちを募らせていたが、サオはカイの横でじっと黙り込んでいた。すると二人が待つ応接室に一人の若手議員が入ってきた。彼女はトビウオ型の調査のため、カイとサオに協力を求めてきた。この若手議員は情報が少ないトビウオ型に強い危機感を持ち、独自に動き出していた。彼女によると、海軍の連絡で先日の凶暴なトビウオ型ゲカアウタレスはまだ複数生息している可能性が高いとの事だった。更に海域の汚染が以前よりも悪化しており、原因は不明だった。若手議員はトビウオ型と直接対峙したカイとサオを引き込むため、二人の処遇に便宜を図った。こうしてカイとサオの処分は見送られ、二人はアドバイザーとして若手議員に協力することとなった。

-第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~

   トビウオ型の話題が度々国会で取り上げられるなか、若手議員はこのアウタレスの情報が少ない事を悩んでいた。それならとカイは若手議員に、先日逮捕された密漁グループの一人に面会を求めた。サオは驚いたが、カイは彼等の方がトビウオ型に詳しいと述べ、若手議員はカイの言葉に耳を傾けた。

若手議員は早速密漁グループとの面会を取り付け、一行は湾岸警備隊基地へと向かった。手続きの後、若手議員一行が取調室に入ると、密漁を行っていた賞金稼ぎがいた。若手議員が密漁犯にいくつかの質問を投げたが、大した情報は得られなかった。頭を傾げる若手議員に対し、カイは席を替わるよう求めた。サオはカイが余計な事をしでかさないよう、彼の側に立っていた。カイは密漁犯がトビウオ型を何度か捕獲しているだろうと、密漁犯を問い詰めた。しかし密漁犯はカイをてきとーにあしらった。サオが密漁犯を睨みつけていると、カイは密漁犯に取引を持ち掛けた。それは密漁したトビウオ型の譲渡の引き換えに、密漁犯の刑を軽くするというものだった。いわゆる司法取引だ。サオはカイの勝手な取引に激怒したが、若手議員は交渉の余地ありと判断した。

政府との交渉の末、減刑と引き換えに密漁犯は以前捕獲したトビウオ型の死骸の差し出しに応じた。密漁犯は書類送検と国内活動一年間停止処分の罰則を呑んだ。無論この事は公にされていない。その後密漁犯の仲間がトビウオ型の死骸を運び、湾岸警備隊は海上でそれを確認し密漁犯を開放した。

2月22日土曜日、トビウオ型の死骸は早速国立研究所に護送され、調査が開始された。この死骸はカイとサオが対峙した個体よりも小さく、およそ1ヶ月前に捕獲されたものらしい。調査の末、トビウオ型ゲカアウタレスは初観測時より進化を続け、体内の汚染物質の量が上昇している事が判明した。更にガスを生成し溜め込む器官も確認され、ガスが汚染物質とゲカで構成されている事も分かった。トビウオ型は海域に流出していた汚染物質以外の汚染物質も自ら作り続け、恐らくこれが原因で海域の汚染が悪化しているのだった。持ち込まれた死骸の一部が欠損しており、内部からの圧力で破裂したように穴が開いていた。穴は体内のガス室付近だった。密漁グループによると、絶命した直後にトビウオ型の腹が突如破裂したらしい。先日の戦闘後の大爆発を含め、トビウオ型は絶命すると体内のガスを利用して大爆発を引き起こすと推測された。トビウオ型を安全に駆除するには体内のガス室を避けるだけでは足りなかった。ヒカ内蔵弾を使用すればゲカの影響が弱まり、爆発力も大幅に低下させる事ができると予想されたが、トビウオ型の個体数が不明な上コスト高の問題が残っていた。そこで研究所はヒカと薬剤を散布し、広範囲にガスの爆発力低下を狙う方式を提案した。今後トビウオ型の殲滅作戦も検討されていたため、研究所は早速対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤の開発に取り掛かった。

トビウオ型の体に関する調査が進む中、保護海域の情報は未だ少なかった。そこで若手議員は政府に海域調査の許可を求めたが、なかなか許可は下りなかった。事態が悪化した場合の責任問題を若手議員が何度も繰り返し問い続けると、政府はついに重い腰を上げ海域調査の許可を出した。

2月28日金曜日、若手議員はカイ、サオと研究員を引き連れて海軍基地へ出向いた。そこは海軍と喧嘩別れしたカイにとって居心地は最悪だった。若手議員一行は海軍の護衛艦に乗艦し、艦はトビウオ型ゲカアウタレス保護海域に向けて出航した。

-第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~ ~完~

海中の影
水中戦
調査の末

次回-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~