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2017年12月16日土曜日

News(お知らせ) -2017/12-

・2017/12/18
自作モデリング支援用モデルセット「Model Creator」の一部を公開しました。
https://worldgazerweb.blogspot.jp/2014/07/model-creator.html

・2017/12/16
自作モデリング支援用モデルセット「Model Creator」がどの様なものか画像を載せていきます。
参考までに。


*キャラクターパーツ。髪の毛、小物、服等々。


*銃火器パーツ。アクセサリー、弾薬、ピストルからミサイルまで様々。ギターとケースもあるよw


*武器パーツ。グリップ、ナイフから長物まで様々。ブーメラン、弓矢、バット、シールド等。シャベルは折り畳み可w


*ロボット、パワードアーマー(人型強化装甲)パーツ。フライトユニット等の支援装備も様々。


*乗り物パーツ。車椅子、戦車、航空機まで様々。


*動物パーツ。


*ワールドパーツ。木や家具、道路、ガソリンスタンドや公園等の建物が様々。

News(お知らせ)

・2019↓
https://worldgazerweb.blogspot.com/2019/02/news-2019.html
・2018↓
https://worldgazerweb.blogspot.com/2018/06/news-2018.html
・2017/12↓
https://worldgazerweb.blogspot.jp/2017/12/news-201712.html

2017年5月2日火曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~

-最終話-

   ジュポ国政府がトビウオ型ゲカアウタレス生息海域警戒を再開してから2日後の3月4日火曜日、警戒に当たっていた湾岸警備隊の巡視船がソナーで何かを捉えた。反応は巡視船に高速で接近し、数は次第に増えていった。やがてその反応はトビウオ型ゲカアウタレスと判明した。トビウオ型の群れの進路上にはイツツシマ市があり、巡視船は直ぐ様本部に緊急連絡を入れた。情報を受けた湾岸警備隊、海軍、PMCや賞金稼ぎ達は急いで準備し、現場海域に向けて出発した。イツツシマ市沿岸に避難勧告が流れ、市内に緊張が走った。

トビウオ型と遭遇した巡視船は撤退を続けていたが、トビウオ型は船に追い付き、巡視船は包囲されつつあった。

-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~

   トビウオ型に狙われた巡視船を援護するため、カイとサオはフライトパワードアーマーで出撃し、現場に急行した。更なる改造を加えたカスタムフライトPAに搭乗していたカイはトビウオ型に包囲され、攻撃を受けている巡視船を確認し、戦闘に入った。




現場に駆けつけた湾岸警備隊、海軍、PMC等の混合部隊はトビウオ型の自爆に気を付けながら、地道に敵の数を減らしていくしかなかった。ゲカの爆発能力を抑制できるヒカ内蔵弾の限られた混合部隊にとって、現状は不利だった。

トビウオ型との全面対決が行われる中、海軍の対潜機が海中に巨大な反応を捉えた。その巨大な何かは海中から徐々に浮上し、やがて海面に巨大な影が映った。それは波を立てながら海面より姿を現した。非常に大きなトビウオ型ゲカアウタレスだった。

体長30メートル程ある巨大なトビウオ型は他の個体同様に空中へと飛行を開始した。サオは恐る恐る巨大トビウオ型の測定を始め、カイが彼女を先導した。測定の結果、体長約30m、体重約350t、飛行速度約250km/h、危険度5(軍事対応)、脅威度4(小隊規模)、濃度6(90%)と推測された。巨大トビウオ型ゲカアウタレスも体内に液化ガスを持ち、その容量は膨大だった。もし巨大トビウオ型が標準個体のように自爆すれば、周囲への被害は計り知れない。巨大トビウオ型に対し、下手に手を出せない混合部隊は為す術が無かった。それでも巨大トビウオ型は群れと共に、イツツシマ市方面に撤退する巡視船を追撃し続けた。

混合部隊のぎりぎりな戦闘が続く中、イツツシマ市にいた増援の護衛艦から通信が入った。対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤が完成し、薬剤を内蔵したミサイルの積み込みが完了したのだ。危機的状況を打開できると多くの者が期待を寄せたが、護衛艦は出航できずにいた。海軍の動きを察知した市民団体がメディアの前で騒ぎ出し、政府はトビウオ型迎撃への増援を見送っていたのだ。

激戦の真っ只中にいる巡視船の速力は落ち、総員の退避も困難であった。良くなるどころか悪化の一途を辿る状況を目の当たりにし、巡視船は退避を諦め、味方に撤退するよう申し出た。彼等は味方の被害拡大を危惧したのだ。巡視船の通信を聞いていたカイは憤りで胸が張り裂けそうになる。

「あいつ等を見殺しにするつもりか!?上は何やってんだ!」

その頃増援が出撃できていない事を知った若手議員は、数人の仲間を連れて防衛大臣に詰め寄った。若手議員は大臣に増援の出撃許可をしつこく求めた。トビウオ型の迎撃作戦が失敗すれば少なくとも巡視船1隻が沈み、混合部隊に被害が出て、そして最悪イツツシマ市が危険に晒される事になる。そうなった場合の責任は誰が取るのか、若手議員は大臣に圧力を掛けた。すると大臣は他の議員達に連絡を取って意見を交換した。しばらくすると、防衛大臣はついに増援の出撃を許可した。若手議員の顔は希望で満ち溢れた。

増援部隊の出撃許可が下り、今か今かと待ち続けていた増援部隊は即座に最大速度で現場に向かった。彼等が積んだ対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤内蔵ミサイルは既に発射体制に入っており、後は有効射程圏内に入るのを待つだけであった。増援部隊出撃の連絡を受けた現場の混合部隊は歓喜し、部隊の士気は一気に激変した。カイとサオは時間を稼ぐため陽動に徹し、部隊は奮闘した。

ついに増援部隊がミサイルの射程圏内に辿り着き、護衛艦が発射体制に入った。艦長の命令により、対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤内蔵ミサイルが発射された。ミサイルは高度を上げ、トビウオ型の群れ上空で起爆した。起爆後、爆発抑制剤が辺り一面に降り注いだ。サオは大気中の濃度を量り、データを護衛艦に送った。護衛艦に乗艦していた研究員がデータを基に薬剤濃度を確認し、数値が期待値に達している事を伝えた。薬剤の効果を確かめるため、1隻の護衛艦がトビウオ型に対空ミサイルを発射した。ミサイルは1頭のトビウオ型に着弾し、爆発と共にトビウオ型の体はバラバラになった。爆発の際、トビウオ型特有の大爆発は起きなかった。爆発抑制剤の効果が効いている証拠だった。

効果を確認した混合部隊指揮官はトビウオ型の群れに対する一斉攻撃を部隊に命じた。混合部隊は一斉に攻撃体勢に入り、トビウオ型の群れと交戦状態に入った。カイとサオは巡視船を狙うトビウオ型を一掃し、巡視船は撤退に専念する事ができた。増援部隊も合流し、一部は巡視船の保護に回った。

形勢が逆転した戦闘の中、カイを後ろから援護していたサオは、カイのPAのフライトユニットから煙が出ている事に気が付いた。戦闘で何度か被弾しているせいだった。

「ここまでか・・・いっそあのデカイ奴にぶつけてやる。」

「・・・えっ?」

カイがこのまま機体もろとも自爆すると勘違いしたサオは、感情を思い切り吐き出す。

「・・・ふざけないでよ!何勝手に死のうとしているの・・・あなたがいない人生なんて・・・私はごめんだわ!」

珍しいサオの叫びを聞いたカイはしばらく黙り込み、そして彼は恐る恐るサオに説明する。

「・・・俺が自爆すると勘違いしているようだが・・・限界にきているフライトユニットだけを自爆させて、落下する俺をお前に引き上げてもらう予定だったんだがな・・・一応パラシュートは装備しているが、戦闘のど真ん中だし・・・」

自身が勘違いしている事に気付いたサオの顔は恥ずかしさで真っ赤になり、彼女は怒りと共に口を開く。

「・・・勝手に自爆しろ。」

「・・・はいよ。それじゃあこれよりあのデカイのに総攻撃を仕掛ける。後は任せたぜ、相棒。」

「・・・」

サオが黙っていても彼女を信頼しているカイはトビウオ型の群れを掻い潜り、巨大トビウオ型に一斉攻撃を仕掛け、近付いたところでPAのフライトユニットを機体から切り離した。カイはそのまま落下し、フライトユニットは巨大トビウオ型に直撃した。混合部隊の攻撃も続き、巨大トビウオ型は袋叩きに遭った。

「・・・あれ?助けてくれないの?・・・うそぉお!?」

落ちるカイを静観していたサオは、間を置いて彼に向かって急加速した。彼女がやや不機嫌だったからである。向かってくるサオに気付いたカイは手を伸ばし、サオは彼の手を空中で掴んだ。

「ありがとな、お前がいて助かったぜ。」

「・・・」

無口のサオはそのまま上昇し、その場を離れた。カイはPMCの船に戻るべきなのだが、サオはわざと彼を海軍の護衛艦に降ろした。彼への嫌がらせだった。

混合部隊の一斉攻撃により巨大トビウオ型は倒され、海に落下した。多くのトビウオ型も倒され、生き残った個体は少しずつその場から逃げていった。やがてトビウオ型は部隊の前から消え、部隊はトビウオ型に勝利し、イツツシマ市への脅威は去った。

   トビウオ型との大規模な戦闘後、この事件はニュースで大々的に取り上げられ、イツツシマ市沖トビウオ型ゲカアウタレス巡視船襲撃事件と呼ばれた。ニュースを知った民衆は政府の対応に疑問を持った。しかし3月10日月曜日、政府は戦闘中の記録映像の一部をメディアに公開し、民衆はアウタレスの危険性を改めて実感した。これを機に民衆のアウタレス保護の感情は薄れていき、逆にアウタレスに対する恐怖心が徐々に芽生えていた。メディアも世間の感情に乗じ、アウタレスに対する不安を揺さぶった。やがて保護団体の影響力は消え、民衆はトビウオ型に対し何かしらの処置を政府に求めた。トビウオ型の管理は難しいと判断した政府はトビウオ型の全面駆除を打ち出し、国民の多くはこれに反対しなかった。

3月21日金曜日、トビウオ型ゲカアウタレス全面駆除法案が可決された。カイとサオは残トビウオ型討伐部隊への参加要請を受け、二人は嫌々討伐任務に参加した。

カイとサオが港で涼んでいると、カイは静かに愚痴をこぼす。

「なんで人はこうも極端なのかねぇ・・・全面保護の次は全面駆除かよ・・・」

「嫌なら無理して参加しなくてもいいんだぞ?」

「お前だけに後始末を押し付けるつもりはねぇよ。」

しばらく波音だけが響き、不意にサオが自身の胸中を明かす。

「実はね、私まだ怒ってるのよ。あなたが黙って軍を抜けた事」

「・・・すま・・・」

カイの謝罪の言葉を、サオが遮る。

「でも立場が違うと二人の視野が広がって、結果的に悪くなかったのかもしれない・・・今はそう思う。」

「なら良かった。俺の選択が、お前のためにもなるのなら・・・今後もよろしく。」

「ああ。こちらこそ。」

二人が握手を交わすと、カイは片方の腕でサオを一瞬抱き寄せた。サオは一度驚いた後、優しい笑みを浮かべた。やや照れ気味のサオは、ふと新しく入った仕事の依頼にカイを誘う。

「そういえば国立研究所から試作戦闘機のパイロットの依頼がきているのだが、どうだ?新しいフライトユニットの資金も必要でしょ?」

「そうだな~・・・まぁ、お前も同行するなら考えてやってもいい。」

サオは笑顔を見せ、二人は静けさを取り戻した水平線を、しばらく眺めていた。

-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~ ~完~

2017年4月23日日曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~

-第3話-

   凶暴な進化を遂げたトビウオ型ゲカアウタレスが複数潜んでいる可能性がある保護海域の実態は、まだ誰も掴めていなかった。そこで若手議員は度重なる政府への説得の末、海域調査の許可を得た。アドバイザーとしてトビウオ型との戦闘経験を持つカイとサオや、国立研究所の研究員が若手議員と同行し、海軍の護衛艦に乗艦した。準備を整えた護衛艦は出航し、保護海域へと向かった。

-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~

   海軍の護衛艦が保護海域に向かう道中、カイ達は打ち合わせ以外やる事が無かった。上層部との口論の末海軍を除隊したカイにとって、護衛艦内は非常に居心地が悪かった。アウタレス調査員の資格を持つカイは海軍内でそこそこの有名人であり、サオ同様艦内で注目を集めていた。当のカイは他人の目線に耐えられなくなり、サオに割り振られた部屋に逃げ込んだ。部屋にいたサオはちょうど着替えをしている最中だった。

「あ、悪ぃ・・・」

カイが静かに部屋を出ようとすると、サオ呆れながら口を開く。

「別にいいよ。ここにいても・・・どうせみんなから逃げてきたんでしょ。」

乗艦前からそわそわしていたカイの心境は、サオには筒抜けだった。カイは席に座り、黙ってサオが着替え終わるのを待っていた。

「除隊しなければこんな面倒もなかったのにな~・・・」

「・・・」

サオが嫌味を言うと、反論できないカイは相変わらず静かだった。弱いところを突かれたカイを見て、サオは小さく微笑みしばらくこの状況を楽しんでいた。

   軍港を出て数時間後、保護海域に接近していた護衛艦のゲカセンサーが、何らかの動体を捉えた。護衛艦は臨戦態勢に入り、艦は速度を緩めた。センサーが示す動体の数が次第に増え、表示が重なり数の特定が困難になった。センサー要員によると、この反応がトビウオ型なら100頭近い数がいるという事だった。保護海域までまだ距離があったが、トビウオ型と思しき動体の群れは保護海域の外で確認された。これまでこの様な事例はなく、艦に同乗していた研究員は困惑していた。

護衛艦は準備を終え、周囲の情報収集のため潜水ドローン(無人機)を放った。潜水ドローンは海中を潜航し、反応があった方向に進むと海水の汚染濃度が次第に高くなっていった。海水の汚染物質を調べてみると、トビウオ型の体内で生成されるものと一致した。潜水ドローンが先へ進むと、センサーに魚類の影が映った。トビウオ型ゲカアウタレスだった。案の定護衛艦のゲカセンサーが捉えたのはトビウオ型の群れだったのだ。トビウオ型の群れは保護海域を離れ、イツツシマ市沿岸に向かっていた。このままでは市に害が及ぶ可能性があった。しかし移動速度が速いはずのトビウオ型はゆっくりと移動していた。何か理由があって移動速度が遅いのか、研究員はこの事に疑問を抱いていた。

護衛艦が潜水ドローンを使用しトビウオ型の群れ周辺を調査して数時間後、前方のトビウオ型に動きが見られた。前方のトビウオ型数頭がその場を前後に往復し始めたのだ。異変に気付いた護衛艦艦長はここが引き時と議員一行を説得し、艦に退却を命じた。護衛艦は反転し、トビウオ型の群れから離れていった。しかし前後に往復していた複数のトビウオ型の動きが止まり、その後護衛艦に向かって加速し始めた。護衛艦内に緊急警報が鳴り響き、護衛艦も速度を上げた。艦より二機の戦闘潜水ドローンが発艦し、艦後方の護衛に就いた。護衛艦を追い掛けるトビウオ型が次第に増え、先頭がドローンに攻撃を仕掛けた。潜水ドローンは応戦するものの、トビウオ型の数に圧倒された。護衛艦は追加の潜水ドローン二機を発艦させ、トビウオ型の迎撃に向かわせた。

護衛艦が魚雷の発射準備中、カイは艦長にダイブパワードアーマー(潜水装置装備型パワードアーマー)の使用許可を求めた。艦長はカイにパイロットは間に合っていると伝えると、カイは艦内に自分とサオより優れたパイロットはいないと反論した。カイとサオはトビウオ型との戦闘経験があり、更にアウタレス調査員の資格を持っているとサオは艦長を説得した。沈黙の後、艦長は二人に潜水パワードアーマー搭乗を許可した。カイ、サオ、二人の海軍PAパイロットがダイブPAに搭乗し、四機のPAは護衛艦より発艦した。二人の海軍PAパイロットは心強いカイ、サオと共に出撃できる事を光栄に感じており、心に余裕ができていた。

護衛艦はトビウオ型への攻撃を開始し、水中のダイブPA四機も急速接近するトビウオ型を迎え撃った。久々の水中戦でカイとサオは初め動きがぎこちなかったが、次第に本来の調子を取り戻した。水中戦に慣れたカイとサオは前に出てトビウオ型の注意を引き付け、海軍PAパイロット二人を艦の護衛に回した。

護衛艦に向かうトビウオ型の数は更に増え、迎撃していた前衛のカイとサオの状況は苦しくなり、二人は少しずつ後退せざるを得なかった。護衛艦は全速力で撤退を続けるが、トビウオ型の追撃は尚も続いた。両脇にいたトビウオ型は護衛艦に回り込もうとし、艦は包囲されつつあった。ダイブPAより前に出ていた潜水ドローンの大半は破壊され、護衛艦の守りが薄くなっていった。海軍PAパイロットも奮闘するも、対応に限界が来ていた。

トビウオ型の猛威が護衛艦に迫る中、横からなんらかの攻撃を受け、トビウオ型の動きが一時的に停止した。攻撃は更に続き、護衛艦を狙うトビウオ型の速度は大きく低下した。護衛艦がセンサーで状況を探ると、複数の人、PA、船舶がこちらに向かってきているのが確認できた。現れたのは複数の賞金稼ぎだった。彼等はトビウオ型への攻撃を続け、護衛官の撤退を援護した。賞金稼ぎの中には先日司法取引に応じた者も含まれていた。借りを返すつもりなのか、彼等のおかげで護衛艦はトビウオ型を引き離す事に成功した。トビウオ型が少しずつ追撃をやめた後、護衛艦艦長は賞金稼ぎ達に感謝を述べ、直ちにこの場を離れた方がよいと伝えた。賞金稼ぎ達は手際よく撤退し、危機を脱した護衛艦は無事岐路に就いた。

   海域調査後、海軍と若手議員は情報をまとめ、政府に報告した。政府は現状を把握すると会見を開き、大まかな情報をメディアに公開した。政府はイツツシマ市に接近しているトビウオ型ゲカアウタレスの群れになんらかの処置を検討しなければならないと公表した。しかしメディアは政府を非難し、この事態は強引な海域調査がトビウオ型を刺激した所為なのではとの疑いを立てた。おかげで政府はトビウオ型の対応を検討するも、決定までには至らなかった。結局は従来通り、湾岸警備隊の巡視船でトビウオ型が確認された海域を見張る事が継続された。

「放っておくとまずい事ぐらい分からねぇのか・・・」

危機感のない政府の対応に苛立ったカイは、サオの前で愚痴をこぼした。これから訪れるかもしれない危機を感じ、カイはサオに頼み込む。

「ちょっと付き合ってくれねぇか?」

サオはカイの言葉に一瞬動揺したが、彼女は冷静に事情を聞いた。

「パワードアーマーの装備を強化したいんだが、手伝ってくれないか?」

「業者なんていくらでもいるじゃない。私じゃなきゃだめなの?」

「あまり他人に俺の機体を触らせたくないんだよ。」

カイの言葉に呆れつつも、特別扱いされたサオは内心喜んでいた。

「・・・しょうがないわね。」

-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~ ~完~

巡視船襲撃
決戦
事件終結後

次回-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~

2017年3月16日木曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~

-第2話-

   カイとサオは密漁船を襲撃したトビウオ型ゲカアウタレスと交戦し、これを駆除した。しかし高圧ガスを体内に持つトビウオ型は絶命する際に大爆発を起こし、このアウタレスの危険性をその場の者達に示した。密漁船は拿捕され、全乗組員は湾岸警備隊に逮捕された。今事件はニュースで取り上げられ、大きな話題を呼んだ。アウタレスの脅威、保護対象であるトビウオ型の殺害に対する抗議など、民衆の注目を再び集めていた。保護対象のトビウオ型を駆除したカイとサオは活動制限を通告され、政府や海軍に参考人として呼び出された。二人を責める者もいれば、二人の迅速な対応を評価する者もいた。ある日カイとサオは再び政府に呼び出され、応接室に案内された。度重なる呼び出しにカイは苛立ちを募らせていたが、サオはカイの横でじっと黙り込んでいた。すると二人が待つ応接室に一人の若手議員が入ってきた。彼女はトビウオ型の調査のため、カイとサオに協力を求めてきた。この若手議員は情報が少ないトビウオ型に強い危機感を持ち、独自に動き出していた。彼女によると、海軍の連絡で先日の凶暴なトビウオ型ゲカアウタレスはまだ複数生息している可能性が高いとの事だった。更に海域の汚染が以前よりも悪化しており、原因は不明だった。若手議員はトビウオ型と直接対峙したカイとサオを引き込むため、二人の処遇に便宜を図った。こうしてカイとサオの処分は見送られ、二人はアドバイザーとして若手議員に協力することとなった。

-第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~

   トビウオ型の話題が度々国会で取り上げられるなか、若手議員はこのアウタレスの情報が少ない事を悩んでいた。それならとカイは若手議員に、先日逮捕された密漁グループの一人に面会を求めた。サオは驚いたが、カイは彼等の方がトビウオ型に詳しいと述べ、若手議員はカイの言葉に耳を傾けた。

若手議員は早速密漁グループとの面会を取り付け、一行は湾岸警備隊基地へと向かった。手続きの後、若手議員一行が取調室に入ると、密漁を行っていた賞金稼ぎがいた。若手議員が密漁犯にいくつかの質問を投げたが、大した情報は得られなかった。頭を傾げる若手議員に対し、カイは席を替わるよう求めた。サオはカイが余計な事をしでかさないよう、彼の側に立っていた。カイは密漁犯がトビウオ型を何度か捕獲しているだろうと、密漁犯を問い詰めた。しかし密漁犯はカイをてきとーにあしらった。サオが密漁犯を睨みつけていると、カイは密漁犯に取引を持ち掛けた。それは密漁したトビウオ型の譲渡の引き換えに、密漁犯の刑を軽くするというものだった。いわゆる司法取引だ。サオはカイの勝手な取引に激怒したが、若手議員は交渉の余地ありと判断した。

政府との交渉の末、減刑と引き換えに密漁犯は以前捕獲したトビウオ型の死骸の差し出しに応じた。密漁犯は書類送検と国内活動一年間停止処分の罰則を呑んだ。無論この事は公にされていない。その後密漁犯の仲間がトビウオ型の死骸を運び、湾岸警備隊は海上でそれを確認し密漁犯を開放した。

2月22日土曜日、トビウオ型の死骸は早速国立研究所に護送され、調査が開始された。この死骸はカイとサオが対峙した個体よりも小さく、およそ1ヶ月前に捕獲されたものらしい。調査の末、トビウオ型ゲカアウタレスは初観測時より進化を続け、体内の汚染物質の量が上昇している事が判明した。更にガスを生成し溜め込む器官も確認され、ガスが汚染物質とゲカで構成されている事も分かった。トビウオ型は海域に流出していた汚染物質以外の汚染物質も自ら作り続け、恐らくこれが原因で海域の汚染が悪化しているのだった。持ち込まれた死骸の一部が欠損しており、内部からの圧力で破裂したように穴が開いていた。穴は体内のガス室付近だった。密漁グループによると、絶命した直後にトビウオ型の腹が突如破裂したらしい。先日の戦闘後の大爆発を含め、トビウオ型は絶命すると体内のガスを利用して大爆発を引き起こすと推測された。トビウオ型を安全に駆除するには体内のガス室を避けるだけでは足りなかった。ヒカ内蔵弾を使用すればゲカの影響が弱まり、爆発力も大幅に低下させる事ができると予想されたが、トビウオ型の個体数が不明な上コスト高の問題が残っていた。そこで研究所はヒカと薬剤を散布し、広範囲にガスの爆発力低下を狙う方式を提案した。今後トビウオ型の殲滅作戦も検討されていたため、研究所は早速対トビウオ型ゲカアウタレス爆発抑制剤の開発に取り掛かった。

トビウオ型の体に関する調査が進む中、保護海域の情報は未だ少なかった。そこで若手議員は政府に海域調査の許可を求めたが、なかなか許可は下りなかった。事態が悪化した場合の責任問題を若手議員が何度も繰り返し問い続けると、政府はついに重い腰を上げ海域調査の許可を出した。

2月28日金曜日、若手議員はカイ、サオと研究員を引き連れて海軍基地へ出向いた。そこは海軍と喧嘩別れしたカイにとって居心地は最悪だった。若手議員一行は海軍の護衛艦に乗艦し、艦はトビウオ型ゲカアウタレス保護海域に向けて出航した。

-第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~ ~完~

海中の影
水中戦
調査の末

次回-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~

2017年2月21日火曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~第1話~ジュポ国のトビウオ型ゲカアウタレス~

初めに光があった。
光は人と共にあった。
光は人と交わした絆を尊んだ。
しかし人はそれを拒んだ。
一部の光の使者は光の上に立とうとし、
後に影となったが、
それは光に打ち勝てなかった。
そこで影は別のものに目を向けた。
それは光がもっとも尊ぶものであった。

光の使者と影は「アウター」と呼ばれ、彼らは自らの力を地に宿した。
光の力は「ヒカ」、影の力は「ゲカ」と呼ばれ、アウターに遠く及ばないものの、
人にとっては驚異的な力だった。
この二つのアウターの力はあらゆるものを侵し、憑かれたものを、「アウタレス」と呼んだ。
ヒカは人の心の中にある聖を照らし、ゲカは闇を照らす。

アウターは殆ど干渉する事なく、ただ人の経緯を見てきた。
そして人はアウターの力を利用し、翻弄され、各々の生を歩んでいた。


これは人が光の力と影の力を技術利用し、翻弄される新時代の物語である。

-第1話-

   ウキン国東アイノス市駐留軍反乱分子西アイノス強襲事件の1年前、4月17日水曜日。ジュポ国西の海域でトビウオ型のゲカアウタレスが複数確認された。早速研究チームが海域に向かい、アウタレスの生態調査を開始した。アウタレスは近海で獲れるトビウオに類似し危険性は無かったが、レベル1で約2%のゲカ濃度を持っていた。やがて研究チームはアウタレスの死骸も発見し、研究所に持ち帰って調査した。するとアウタレスの体内から産業廃棄物が検出され、アウタレスが生息する海域でも同様の成分が検出された。この事はマスメディアで取り上げられ環境省に問い合わせが殺到したが、大臣は記者会見で詳しい情報は無く現在調査中であると答えた。その後環境省は海域の除染を開始する事を発表し、計画の中にはアウタレスの駆除も含まれていた。

政府が海域の除染作業の準備を進める中、ある情報が飛び込んできた。5月23日木曜日、海域の汚染状況が記載された報告書が外部に流出したのだ。報告書の作成日時はトビウオ型ゲカアウタレスの初観測より1ヶ月も前であり、環境省宛てであった。更には産業廃棄物を流出させた当事者として大企業の名前までもが載っていた。つまりこの報告書の内容が全て事実だとすると、環境省は産業廃棄物の存在を知りつつもその事実を公表せず、大企業の失態を隠していた事になる。その後環境大臣が情報漏えいを防ぐために行った手回しや別件の疑惑が徐々に浮上し始めた。この事実に国民は政府に対し不快感をあらわにした。

6月7日火曜日、トビウオ型ゲカアウタレスに関する抗議活動を行っていた市民グループがアウタレスの保護団体を設立し、トビウオ型ゲカアウタレスに関する報道は以前より数を増していった。この問題に対して著名人が意見を述べる機会が増え、国民の関心は少しずつ高まっていった。

アウタレス保護団体はトビウオ型ゲカアウタレスのドキュメンタリー映画を製作し、10月3日木曜日から公開を始めた。この映画は大きな反響を呼び、弱者であるアウタレスと悪者の政府という構図が国民の多くに広まっていった。政府に対する批難が続き、ついには環境大臣が辞任に追い込まれた。新たな環境大臣が任命されたが、大臣は国民やメディアの声に押されるままアウタレスを保護する方針を打ち出した。アウタレスを保護する前に入念な調査をするべきだと声を上げる者もいたが、影響はあまりなかった。国会にて早速トビウオ型ゲカアウタレス保護法案が作成され審議入りしたが、議員の多くはこれにすんなりと賛成した。議員達は国民の間で流れる政府への怒りに触れ、支持率を落とす事を恐れていた。更に一部の議員は保護法案を管理する委員会の創設や、海域封鎖によって生まれる利益欲しさにこの法案に賛成票を投じていた。

こうして11月29日金曜日、トビウオ型ゲカアウタレス保護法案が可決され、その後執行された。アウタレスが生息する汚染された海域は立ち入り禁止になり、アウタレスは人の手から守られた。

トビウオ型ゲカアウタレス保護法が執行されて後、保護海域には誰一人近付かなかったため、辺りは静けさを保っていた。ところが翌年の1月11日土曜日、保護海域周辺で不審船が確認された。以来周辺海域では次々と不審船が現れるようになっていた。不審船の正体は漁師や賞金稼ぎ達が乗る密漁船だった。保護海域に誰も近寄らない事を逆手に取り、彼等は希少価値の高いトビウオ型ゲカアウタレスを密漁していたのだ。この事実は案の定国民の怒りを買い、ジュポ国政府は対応に迫られた。

-第1話~ジュポ国のトビウオ型ゲカアウタレス~

1月16日木曜日、トビウオ型ゲカアウタレス保護海域に出没する密漁船に対し、ジュポ国政府は警戒態勢を敷いた。初めは湾岸警備隊が海域の警戒に当たっていたが、人手が足らず後に海軍やPMC、民間軍事会社にも協力要請が発せられた。要請を受けた民間軍事会社の中に、ある賞金稼ぎがいた。ナンコウ・カイ。28歳の男性、ジュポ国出身。元海軍のフライトパワードアーマー乗りだ。コールサインは「FLEMI11(フレミー11)」、以前は「HARMI11(ハーミー11)」。彼は准尉で海軍を除隊している。


カイの元同僚で海軍大尉であるカタシ・サオも任務で保護海域を訪れていた。彼女も28歳でジュポ国出身、更にフライトパワードアーマー乗りである。コールサインは「HARMI12(ハーミー12)」。


サオとカイの付き合いは長く、海軍時代も2人で行動する事が多かった。しかし軍上層部と度々揉めていたカイはサオに黙って除隊し、サオはその事を未だ根に持っていた。彼が除隊の事を黙っていたのは、それに対してサオが何らかの行動に出る事をカイは知っていたからである。案の定、カイの除隊を知ったサオは上層部に掛け合ったが、既に手遅れだった。サオに気を使ったとはいえ、彼女がカイの除隊に不満を持っている事には変わらなかった。二人は海域警備の任務中や港町での食事中でもよく口論になっていたが、なんだかんだ仲の良い二人は一緒にいる事が相変わらず多かった。

2月15日土曜日、海域の警備を行っていた各隊に突如緊急通信が入ってきた。内容は保護海域付近に現れた密漁船がアウタレスに襲われているとの報告だった。カイはPMCの武装船の中を走り、愛用のカスタムパワードアーマー(PA)に乗り込んだ。







PMCのクルーが彼のPAにフライトユニットや火器の取り付け点検を行い、フライトユニットのエンジンが回る。船に備え付けられたフライトデッキからは既に無人機や小型航空機が離陸を始めていた。カイのPAがフライトデッキに誘導され、エンジンの回転数が上がっていく。

「こちらブリッジ、フレミー11、発進どうぞ。」

オペレーターにカイは軽く手を振り、彼のPAは急加速後一気にフライトデッキから飛び立った。同時刻、海軍の駆逐艦で待機していたサオもフライトユニットを装備したカスタムPAに搭乗し、直ちに発進した。フライトPAで飛行中のカイとサオは道中合流し、自然に海軍時代と同じ様にサオがカイの後方に就き、二人は編隊を組んだ。やがて各部隊が現場に到着し、カイとサオは逃げる密漁船を視界に捉えた。ボロボロになりながらも、密漁船は何かから逃げるように全速力で航行していた。船の甲板では武装した乗組員が海中に向かって銃を乱射していた。次の瞬間、海中から黒い怪物が飛び出してきた。それは翼の様な巨大なヒレを広げ、飛行を始めた。

「なんだあれは!?」

その怪物を確認した海軍やPMCの面々は皆衝撃を受けた。面影はあるものの、それは過去に報告されたトビウオ型ゲカアウタレスと姿や大きさが違っていた。発見された当時、体長は従来のトビウオと差異は無かったものが、今では人の身長を軽く超えていた。更に当時は大人しく、人間に危害を加える様子は見られなかった。余りの変貌ぶりに当時を知る者達は別の個体なのではという疑いを持った。

海中から飛び出したトビウオ型はしばらく飛行を続け、一気に密漁船に体当たりした。密漁船の船体の一部が吹き飛び、船はなんとか逃げ切ろうと必死だった。乗組員の放った銃弾はトビウオ型の硬い頭部に弾かれ、彼等は厳しい戦いを強いられていた。上空を旋回しながらサオは次の命令を待ち続け、予想以上の危機的状況にカイは焦りを見せる。

「早く援護しねぇとあの船沈むぞ。」

「分かってる。でも交戦許可がまだ下りていない。」

「これだからお役所仕事は・・・」

現場の状況は既に政府に報告され、海軍は政府の判断を待っていた。何故ならトビウオ型ゲカアウタレスは保護対象に定められており、更に保護海域は立ち入り禁止で活動が制限されていたからである。密漁船を守るためにトビウオ型に危害を与えると後にどんな非難を受けるか分からない。政府はなかなか判断を下せずにいた。

密漁船に対するトビウオ型の攻撃は止む事無く、その衝撃で乗組員の一人が海に投げ出された。カイは瞬時に反応し、自身のPAを海面に向けて加速させた。それを見たサオは慌ててカイを追い掛ける。

「フレミー11!何をする気だ!」

「こちらフレミー11、これより救援活動を開始する。」

カイの勝手な行動に、PMC武装船の船長が声を荒げる。

「交戦許可はまだ降りていないんだぞ!勝手な事をするな!」

「アレに当てなきゃいいんだろ?脅かすだけだ。」

カイは海面に映る僅かな影を捕捉し、マシンガンを乱射した。するとトビウオ型は海中から飛び出し、空から密漁船を追った。カイは再び威嚇射撃を行い、トビウオ型の注意を引こうとした。カイの射撃には反応するものの、トビウオ型は密漁船を追い掛ける事をやめなかった。

「これじゃ駄目だ・・・こちらフレミー11、これよりトビウオ型ゲカアウタレスらしきものと交戦に入る。ハーミー12、奴のアウタレス評価を頼む。」

カイの「アウタレス評価」という言葉に、サオは閃く。

「こちらハーミー12、アウタレス評価の必要があると判断し、評価のためこれよりアウタレスに攻撃を仕掛けます。」

アウタレス評価とは、情報が少ないアウタレスの危険性や習性、能力等を簡易的に知るために行う調査である。アウタレスは人にとって脅威となる事が多く、迅速な情報収集はとても重要である。アウタレスの戦闘能力の確認も行うため、調査員自らアウタレスと意図的に交戦する機会は少なくない。サオはそこに目を付けたのだ。あらゆる能力を求められるため、調査員資格の取得は非常に難問である。アウタレス調査員の資格を持つカイとサオは一定の権限が認められているのだ。

「なるほど、それなら言い訳がつくかもな。」

感心するカイに対し、サオが叱る。

「無駄口を叩くな!・・・ハーミー12より各隊へ、我々がアウタレスの足を止めます。その間に密漁船の救助を。」

「了解した。但し政府に何言われるか分からんぞ・・・」

海軍駆逐艦艦長がそう応答すると、海軍とPMCは協力して密漁船の救助活動を開始した。その間カイとサオはトビウオ型との戦闘に入っていた。カイはトビウオ型に対しマシンガンで執拗に攻撃し、トビウオ型は怒りカイに狙いを定めた。

「よしよしやっと食い付いたな。じゃあ頼んだぜ。」

トビウオ型が自身を狙っている事が分かるとカイは姿勢を反転させ、攻撃を続けながらその場を離脱した。トビウオ型はカイを追い掛け、その後ろからサオがセンサー等を用いトビウオ型の分析を始める。

「飛行速度300km/h、体長3m・・・体重400kg・・・ゲカマテリアル80%、濃度6・・・危険度4、脅威度3ってとこか。」

「そんなもんだろうな・・・ところでコイツ、このまま放置はマズい。被害が増える前にここで仕留めるぞ、いいな?」

「結局こうなるのね・・・了解。」

サオはため息をつき、銃を構えた。回避に専念していたカイはトビウオ型に向かっていき、本格的な戦闘に入った。サオはトビウオ型の調査を続け、飛行能力の詳細を調べた。調査中、彼女はトビウオ型の腹の下部に噴射口らしき穴を確認した。そこからガスが噴き出し、トビウオ型は飛行のための推進力を得ていた。サオは複数のセンサーを用い、トビウオ型の腹付近を更に調べた。するとトビウオ型の体内に、液化した高圧ガスが納められた部位を見つけた。ガスの圧力が非常に高い事が分かり、サオはカイに叫ぶ。

「フレミー11、攻撃を中止しろ!」

「了解、何かあったのか?」

サオへの信頼もあってか、カイは直ぐに察し、銃を下げた。

「腹に高圧力のガスが溜まっている。それでヤツは長時間飛行を可能にしているんだ。爆発させると被害が増えるぞ。」

「あっぶねぇ・・・つまりガスタンクがある腹を避けろって事だな?」

「ああ、ここはやはり頭部を一撃で仕留めるのが得策だな・・・何、お前さんなら得意だろ?」

サオは一瞬笑みを浮かべ、威嚇射撃でカイを援護した。その間にカイは一気にトビウオ型と距離を取り、ブレードを構えた。トビウオ型は再びカイを追い、カイもトビウオ型目掛けて加速した。カイとトビウオ型との距離が縮まった時、カイは急上昇し、トビウオ型も後に続いた。お互い高度を上げ、速度が落ちたところでカイは反転し、トビウオ型目掛けて急降下した。そのままカイは失速中のトビウオ型の頭部を狙い、一気にブレードを振り下ろした。ブレードの攻撃は深く入り、やがてトビウオ型は絶命し海に落下していった。それをカイが見つめていると、サオはセンサーでトビウオ型の腹部の圧力が急激に上昇している事に気が付いた。

「離れろ!爆発するぞ!」

「何っ!?」

驚きながらも、カイは咄嗟に畳んであるシールドを展開し、防御姿勢を取った。そこへサオが駆けつけ、カイを守るように彼女もシールドを展開した。サオは何が何でもカイを守りたかったのだ。絶命したトビウオ型が落下中、体内ガスの圧力が限界に達し、トビウオ型は空中で大爆発を起こした。トビウオ型の破片や衝撃波をサオはシールドで受け止めたが、爆発の威力にサオとカイは衝撃を受けた。戦闘終了を示す大爆発の後、海は不気味な静けさに包まれていた。

-第1話~ジュポ国のトビウオ型ゲカアウタレス~ ~完~

ニュースの波紋
アウタレスの変化
海域調査

次回-第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~

2017年2月20日月曜日

Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~

-plot-あらすじ

人が光の力と影の力を技術利用し、翻弄される新時代。

ある日ジュポ国西の海域で、トビウオ型のゲカアウタレス(影の力を宿した生物)が確認された。
アウタレスの体内や海域から産業廃棄物が検出され、政府に原因究明が求められた。
やがて国が産業廃棄物の情報を隠していた事実が公表されると、国民や環境団体の怒りは頂点に達した。
支持率低下の恐れや利権のため、政府はアウタレスが生息する海域を早急に立ち入り禁止に指定した。

保護法執行から約3ヶ月後、同海域に増え始めた不審船を突如アウタレスが襲った。
海域を警備していた賞金稼ぎのナンコウ・カイは報告を受けフライトパワードアーマーで現場に向かった。
カイの元同僚で海軍大尉のカタシ・サオもフライトPAで現場に向かい、変異し凶暴化したアウタレスに遭遇する。

凶暴化したアウタレス、アウタレスを利用する者達、保身に走る政府。
カイとサオの苦難に満ちた戦いが幕を開ける。

-第1話~ジュポ国のトビウオ型ゲカアウタレス~↓
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-第2話~トビウオ型ゲカアウタレスの調査~↓
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-第3話~海中のトビウオ型ゲカアウタレス~↓
https://worldgazerweb.blogspot.jp/2017/04/wasteful-wings3.html
-最終話~トビウオ型ゲカアウタレスとの決戦~↓
https://worldgazerweb.blogspot.jp/2017/05/wasteful-wings.html

「Wasteful Wings~ウェイストフル・ウィングス~」
「World Gazer~ワールド・ゲイザー~」シリーズ。

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2017年1月4日水曜日

Model(模型)

1/12スケール パワードアーマー (nanoblock、figma 使用)↓
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1/12スケール パワードアーマー (nanoblock、figma 使用)

 
夢が一つ叶いました。
自作パワードアーマーの立体化に成功です。
おもちゃ屋さん、お話待ってますw
当初はプラ板で作る予定でしたが、難度が高いのでブロックをチョイスしました。
店で「レゴ」を検討中、「ナノブロック」が目に入ったので
お、イケるんじゃね?的な感じで挑戦してみたら大当たりでした。
「figma」のフィギュアを収納したままアクションポーズを取る事ができ、出し入れ用に頭部、肩ハッチも開閉できます。
フィギュアを収納していなくてもなんとか自立します。
ただ制作にお財布が大分軽くなりました・・・
 
縮尺:1/12スケール
高さ:約17cm
使用したもの:
・ nanoblock HUMAN SKELETON ×3
・ nanoblock SPACE SHUTTLE ORBITER ×3
・ nanoblock DISPLAY ARM ×1
・ figma archetype next:she gray color ver. ×1
配色等が気にならなければ3セットも必要ありません。それでもブロックは大量に余ります。まぁ追加装備でも作りますかね。
 
*こちらがモデル原案の3Dデザイン

 
 
 
 
 
 
 
 
*跪いたポーズ
 
 
 
*腕立て伏せのポーズ
 
 
 
 
 
*頭部、肩ハッチ開閉シークエンス
 
 
*パーツを一部取り外した状態
 
 
*figma archetype next:she との比較
 
おまけ(制作過程):

  
  
 
  
  
 
 
 -Powered Armor(PA)
  -パワードアーマー。装甲が装備された強化服。強化装甲。人型強化装甲。主にパワードスーツ着用を前提に搭乗する。マスタースレイブ等のマンマシンインターフェースを備え、人体の骨格に連動する構造をしている。使用が絶対では無いがパワードスーツを用いる事でパイロットに伝わる外部からの衝撃を緩和しパワードアーマーとの一体化を促進する。制御系を調整する事で障害者や小型人間でも問題なく使用できる。サイボーグ、制工人体使用者も搭乗する事は可能だが制御の負担が増える為効率はあまり良くはない。
パワードアーマーは装甲が厚くなると稼動範囲が狭くなり重量も増えるが、稼動範囲を優先すると関節部のコストが膨らんでいく。理由は関節の一部で使われる蛇腹式装甲が高コストな為である。狭い稼動範囲を補う為に補助腕等を備える事がある。パワードアーマーの多くは太い脚部が干渉してしまう為足を完全に閉じる事はできない。因って歩行する際はがに股になる瞬間があり、一部のパイロットはがに股になるケースがある。こういった事情もあり、パワードアーマーのパイロットの体は以前より柔らかくなる事が多い。パイロットに要する体格はパワードアーマーによってまちまちだが、多く流通しているフリーサイズ型はパイロットの体格に合わせて関節が移動し身長180~140cmに対応している。又使用者の体の一部が欠損している場合、その部位に空洞が生まれる為、その部位の稼動範囲の制限は無くなる。本体の一部分が露出、下半身だけのモデル等パワードアーマーの種類は様々である。
パイロットの操縦技術、反応速度、身体能力、体格や体の柔軟性を数値化した適正値を調べ、パワードアーマーに設定する事で効率良くパワードアーマーを操縦する事ができる。
 
  -100kg Class Ultra Light Powered Armor(ULPA)
   -100kg(~199kg:総重量)級極軽量機。パワードアーマーの中でも最軽量の為露出がありフレームのみで形成されていて搭乗者の防御性能は極めて低い。軍用では潜入、落下傘部隊等で使用されている。
   -防御力:<12.7mm(frame)
  -200kg Class Very Light Powered Armor(VLPA)
   -200kg級超軽量機。全体的に細く100kg級とは違い全体が防護されており重量が軽い為飛行装置の実用性が高い。軍用では航空支援や制圧任務等に使用されている。
   -防御力:<12.7mm(frame),<7.62mm
  -300kg Class Light Powered Armor(LPA)
   -300kg級軽量機。外見は400kg級より若干小柄でスカートや肩アーマー等の追加装甲が無い。
   -防御力:<12.7mm
  -400kg Class Standard Weight Powered Armor(SWPA)
   -400kg級標準重量機。スカートや肩アーマー等の追加装甲を持ちジェネレーター出力も申し分無くバランスが取れた万能クラス。
   -防御力:<20mm
  -500kg Class Heavy Powered Armor(HPA)
   -500kg級重量機。全体的に太くジェネレーターも大型で400kg級より下半身が大型化されたクラス。
   -防御力:<20mm
  -600kg Class Very Heavy Powered Armor(VHPA)
   -600kg級超重量機。500kg級より上半身も大型化されたクラス。防御力、ジェネレーター出力や有効積載量が高く機動力もある為軍用では主力として用いられる事が多い。
   -防御力:<30mm
  -700kg Class Ultra Heavy Powered Armor(UHPA)
   -700kg級極重量機。肩パーツが頭を覆っている。機体が大きくバランスの確保の為補助脚を備える事が多い。動きが鈍いがその分防御力、ジェネレーター出力や有効積載量が最高レベルに達する。
   -防御力:<30mm
 
「World Gazer~ワールド・ゲイザー~」シリーズ用。